top of page

七人の猟師(りょうし)

大嶺 白倉

 昔、瀬尻(ぜじり)の山や、その西の白倉(しらくら)の山にかけて、大男が住んでいたといいます。その大男は、せいの高さは五メートル、山から山を、風のように走りまわったといいます。村の人たちは、この大男を見ると、

「そら出た。」

と、家の中に、にげこんだものです。

 また、夜など人の先に立って、道案内のように歩くことがありました。人が急げば速くなり、ゆっくり歩けばおそくなり、とつぜんふっと消えてしまうこともありました。

 ある時、白倉の村の猟師※1七人が七ひきの白い犬を連れ、白倉から熊(くま)へ通ずる南沢(みなみさわ)へ猟(りょう)に行きました。この山は、谷深く昼なお暗い、なんでも七十五もの谷があるところです。ところが、この七人は、いく日たっても一人も帰ってきません。

「どうしたのだろう。」

家の人たちや村の人たちは、心配で心配でたまりません。しかし、深い山の中で、さがしに行くことはできません。

「きっと、山の大男に、どこかに連れて行かれたのだろう。」

と言って、三年目におとむらい(そうしき)をしてやったということです。

 それで、その後は、七人が山へ行った日になると山のどこかで、犬のなき声と、鉄ぽうの音が、かすかに聞こえるともいいます。

 このことがあってから村の人たちは、七人で山へ入ることは、ぜったいにしないということです。

 今でも七人の猟師を山の神としてまつり、石碑(せきひ)※2も建てられています。

 

※1 けものや鳥を追ってとらえる人のこと

※2 その土地にかんけいある人や物事をえいきゅうに記念するために建てた石のこと

bottom of page