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大日山の伝説(だいにちやまのでんせつ)

​戸倉

 昔、人々の間で鉄ぽうが使われるようになったころのことです。

 戸倉の大日山へ登る途中に、こびき平とよばれていたところがありました。そこは、ふだんはとても日当たりがよく、ひと休みするには、もってこいの場所でした。

 ある日、親子連れがこびき平を通りがかりました。

「ちょっとつかれたなあ、ひと休みしていくか。」

親子はここで、少し休んでいくことにしました。

 その日はとても寒い日でした。いくら日当たりがよいといっても、じっとすわっていたのでは体が冷えてしまいます。親子は火をおこすことにしました。

 二人は、山のかれ木を集めてたき火を始めました。

 ところが、この火を川向こうの大峯がわから見ていた人がいました。

「火事だ。」

「だれかが火をつけたかもしれないぞ。」

あっという間に大さわぎになりました。

 この火を悪者のしわざとかんちがいした人たちは、鉄ぽうをとりだして、たき火に向かって一発ズドンとぶっ放しました。

 運悪く、たまは親子連れに命中してしまいました。かわいそうに親子は息たえてしまいました。

 その年の夏からです。村には悪い病気がはやり出しました。

「これはきっと親子のたたり※1にちがいない。」

村人たちは、秋葉山から神主さんを招いて、ほこら※2をたてて、親子をまつることにしました。

 まもなく、病気はうそのように村からなくなっていきました。

 こんなことがあってから、親子のなくなったこの場所は「大日平」とよんで、毎年そのお宮でおまつりをすることになりました。

 

※1悪いことをしたために、親仏などから受けるばつ

※2神をまつった、小さな神社・建物

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