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「龍山の素材やアイデアを主とした空間展示」

表現方法や専門性の異なる6名による、林業や鉱山など、龍山の歴史文化資産などを共通主題とした空間展示。

木と鉄で地を
山口 貴一 / 美術作家、アートディレクター

この作品は、人々が下刈りという手作業を通して環境との関わりを持っていた様子と、軌跡を表現したものである。龍山町瀬尻地区は天竜区のなかでも杉、檜の植林が最初に開始された場所にあたる。造林によって地域に大きな経済的恩恵がもたらされ、人と環境の新しい関係性の始まりとなった。人と環境の関係性は時代とともに変化するのが必然だが、現在はどのような関係性なのだろうか。人が居なくなりつつあるこの場所で、今一度自分が置かれた環境へと意識を向けるきっかけとなる作品としたい。同時に、この作品は他作品群の、導入的な位置づけとする狙いもある。この作品を始め、全ての根底には龍山の現状と地域性への眼差しがある。それぞれの作品が相互に作用するよう、本作品が展示会場における概念上のイントロダクションとして機能することで、来場者が自分の置かれた環境を意識し、あるいは展示会場全体、さらにはその外へと鑑賞の意識を拡張する助けとなる。

この地に結ぶ
横地 敬 / 金属造形家

この地にすむ人達を支えた杉檜や銅鉱はいま、この地にすむ人達に支えられる(あるいは見守られる)存在となった。

そして、閉校した校舎から校庭へ向うものはこども達ではなく銅と杉の連なり。

支えを持たず、ただ風雨を受け揺れる。

天竜材で作ろう!みんなの集合紋様アート
羽島 昂平 / プロダクトデザイナー

龍山に所縁のある木材を使い、参加者全員が集合的に作り上げる共同制作作品。作品は2枚一組の木ピースからなり、一方は持ち帰るものとして龍山に訪れた証となり、もう一方は展示場内に設置してアート作品の一部として構築され、次に訪れる来場者へと作品のバトンとしてつながっていく。数多くの作品が集まることで、見る人の主観で感じる様々な表情の作品へと発展していく。

龍山を織る
丹羽 あや / デザイナー

龍山に所縁のある杉や桧などの木材を一部織り込んでタペストリーにした。

普段、触れる木材の形状ではなく、木材を薄くカンナ掛けして取り出した繊維を使って織り込むことで、龍山の杉林や空気感を表現した。

観覧者は、実際に作品に触れることができ、触り心地や木の香り、風で揺れる繊維の音など、五感を使って感じられる作品となっている。

光景(龍山):2023年 7月 – 10月
根木 隆之 / メディアクリエーター

映像表現には「時間軸を内包する」という他の表現技法にはない特徴がある。「現在(2023年7–11月)」の龍山の風景、そこに暮らす人々の姿、さらには山いき隊をはじめとする、龍山で活動する関係者の姿を包括的に撮影し「時間軸を切り取る」というコンセプトで記録することとした。私は本作品を単なる記録映像ではなく、解釈の「手がかり」を内包したものとなるよう試みている。「現在」の龍山に関わる人々の行動や発言を手がかりとして、鑑賞者がそれぞれの解釈で読み解ける映像作品としたい。

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